”ポータブル傘を開いて得意顔の糸川先生”   (2012年8月19日(日)

 今から50数年も前、ポータブル傘が始めて世の中に出てきてまだ珍しいし値段も高い頃の話である。

ある雨の日の事。糸川先生が研究室に入ってくると、なにやら傘のようなものを持っていて皆を呼んだ。子供が得意になる時のような悪戯っぽい表情を見せながら,すこしずつそれを広げてやがて最後の所で“これからが面白い、ここでやっと
「空気力学」を応用して傘を開くのだ。”と仰って、そのポータブル傘を広げた.

今の様に材料が良くないから、細いばねなどが使えず,最後に広げる時に空気の圧力を利用してパッと広げるタイプであった.これを先生はご自分が
空気力学専門なのに「気が付かなかったのは不覚の至り、発明者は知らないが,敬意を表して買って来たのだ」と話されたのであった。小雨の度に思い出します。