姉の想い出・其の2:母の事、パイプオルガン
姉が小学校5年のころ、私にそっと教えてくれたことがある。母は北海道のミッションスクールを出て、やがて無教会伝道者の一人の金澤常雄の伴侶となり、その道に身を捧げる生涯を送った。心からその道に身を捧げる事に徹していたが、小学生の姉にぽつんと漏らした言葉があったのを、姉から聞いた。
【北海道のたミッションスクールに学生として学んでいた時のこと。そのころ貴重品と言われていてパイプオルガンがあったが、生徒は通常手を触れることを許されなかった。母は音楽の才能を認められパイプオルガンに触れることが出来た。そして音楽の道に生きることを希望するならアメリカ留学という道があると聞かされた】
私はこの話を聞いて、子供心に ”大人になったら、うんと働いてお金を貯め、母に立派な音楽室とオルガンを買って上げるんだ” と誓った。
そして、2年前にやっと ダイナミック・アート館の4,5階、20坪あまりの吹き抜けに、
『最新の電子パイプオルガンと20年位の開発を経て完成した歪のない平面プピーカーを備えた音楽室』
が出来上がった。母がこの世を去って20年くらい経てしまった。何とか時間を作って、夕方から電子パイプオルガンに録音された静かな音楽を在りし日の母を思いながらひっそりと聞くのを楽しみにしている。今はこの世にいない姉に報告します。