姉の想い出・其の4:また会う日まで、

讃美歌 ”また会う日まで” を歌いながら姉と最後の別れをした。その時気がついたのだが、何故か姉の顔がほんの僅か細く、そして寂しげだった。どんな時でも明るい表情をしていた姉しか見たことがなかったから、驚いた。

お骨になって出てきたときには、係りの人は  『こんなにしっかりした骨は見たことがありません。骨壺も一番大きなものを用意しました。頭蓋骨が大きくしっかりしていること、歯が全部しっかりこの通り残っているし、膝その他の関節部分がこんなにしっかりしているのは、珍しい』  と言っていた。胃がん手術の為に大きな金属の塊が出てきたのが、唯一の病気の跡を示していた。

ここ2,30年はお互いに忙しかったので、めったに会うことがなかった。しかし、今にして思えば、あんなに好きだった英文学の紹介著書も”A good age"一冊しかないのも変だと気が付いた。人生の後半はあまり幸せではなかったのでは、と思うと悲しい。